当麻喜明

「真夏の雪だるま」とエントモファガ・グリリ

2011年8月18日 | 当麻喜明 | Comment[4]

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何だかわからないものを見付けてしまった。菌類だろうと思う。触ってみた。マシュマロより固く、弾力があった。近くにたくさんあった。しかし他ではあまり目にしていない。ここでは「真夏の雪だるま」と呼んでおこう。そして菌類でまとめられそうな画像を集めてみよう。

Pentax K5 & Nikon D300 & Lumix G2 & Ricoh GRDⅢ


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「真夏の雪だるま」はシダ植物を好むらしいです。
このあたりヒントになりそうです。

シダ植物→じめじめした少し暗い林床→菌類??


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雪だるまの頭が見えました。多分この幼菌は・・・


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こんな風に成長すれば、シロオニタケと呼ばれます。


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成菌あるいは老菌はこんな風に変わっていきます。
雑木林の雪だるまは、生ビールの白い泡になって、土に溶けていきます。


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これは菌類ですが、動物のように生域を拡げていく粘菌のようです。
白いから・・・雪ってことかな?


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これは林の朽ち木で見付けたのですが、似た粘菌のようです。
ここまで丘陵東部で見付けました。


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これは「みどり森」で見た雪だるまの「髪の毛」としておきましょう。
触ったら弾力があり、胞子状の茶色いものが指に残りました。


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ちょっと気になっていた、バッタの変死。
昆虫病原糸状菌に感染したバッタのようでした。

接触感染してしまったバッタは、菌に誘導されるように植物の先端まで
登りつめて、落ちないように茎をしっかり抱きしめて息尽きます。
早朝に登りはじめ夜には死ぬそうです。

高い場所から風に飛ばされた菌は、新しいバッタに同じ運命を与えます。

かつて種子島の西12kmにある馬毛島に、異常発生したトノサマバッタを
短期間に正常な数に戻したのも、この糸状菌でした。


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この糸状菌の一種を「エントモファガ・グリリ」と言います。
名称の不思議さから検索すると、症例が多くみつかります。
このベッコウハゴロモは白いのでボーベリア菌(昆虫病原糸状菌)感染
したもので、この菌による白きょう病と言えそうです。
(8/20 一部菌名表現訂正)

人間に害が無いということで「生物農薬」に応用できないかと、
研究が進められているそうです・・・

さて、雪で話しがすすみましたが、菌類の世界に話しが進んでいきました。
「真夏の雪だるま」は今もって謎です。


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8月11日の上と下に伸びた光芒は見事でした。
最後は綺麗に「天使の梯子(はしご)」。


参考

美しい菌類たち-粘菌・冬虫夏草・キノコ類
恐るべし!昆虫病原糸状菌


Comments [4]

No.1

思わぬ物体出現ですね。さて・・・何の塊でしょうか・・・。
興味深いですね。
夏の間、ベンジャミン(観葉植物)を外に出しておきます。
ふと幹を見ると何やら泥の塊。棒で叩き落してみたら、細長い青虫が何匹も出てきました。
ネットで調べたら「ドロバチ」の巣らしい。この青虫は蜂の子供の
餌に蓄えられたものと判明。皆、生きるために、子孫を残すために知恵を使って一生懸命だと思いました。

コメントありがとうございます。
私は今まで「擬態」という生き延び方に関心があって、コラムの種類も多く書いてきました。しかし、さらに「寄生」という生き方も相当巧ですね!ただ気味が悪く、避けてしまいます。もし・・・もし私が昆虫だったら「擬態」の方向に進化しそうです。哺乳類でも擬態はありますが、昆虫は多彩ですね。

No.2

こんばんは。ご無沙汰しています。
今日の雨ですっかり涼しくなりましたね。
樹上からはいよいよアオマツムシの声が聞こえてきました。

昆虫病原糸状菌、引用いただきありがとうございます。
先日、武蔵野の野川沿いでたくさんのショウリョウバッタがこの菌に冒されて死んでいるのを見かけました。
バッタが褐色に変色して死んでいるのは、エントモファガ・グリリによるもののようですが、これは菌の種名で糸状菌の総称ではありません。ベッコウハゴロモは、白い分生子の色からボーべりア菌による白きょう病と思われます。

色々な種の糸状菌があるようですが、虫たちにとっては恐ろしい病ですね!

バッタの変死に気が付いたのは先週です。菌の大きさで考えたら、となりの銀河ほどの距離があるのに、感染にも「旬」があるなんて興味深いです。昆虫の病気もチャート図のように整理しないといけませんね!

昆虫の死因の統計をとれば「食物連鎖」による「食べる食べられる関係」が一番でしょうが、病気になるということも一因ではありますね。この雨で空気中の糸状菌の飛散量は変わるのでしょうか。もし地面にしみ込んだ浸透水で幼虫や卵時代から感染しているとしたら・・・生きる仕組みは壮絶です。

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