当麻喜明

冒険を終えたセミヤドリガ成虫

2011年9月19日 | 当麻喜明 | Comment0

s01.JPG 2011.9.11-19 mega sametara outinonaka

19日昼過ぎに、セミヤドリガ繭を観察していた入れ物の中に黒い蛾がキョトンとしているのに気が付きました。これは以前ブログで拝見していたセミヤドリガ成虫にそっくり!いえ、そのものでした。姿形には期待していなかったのですが、なんのなんの美形でしたよ!

Lumix G2 LEICA DG MACRO-ELMARIT 1:2.8/45 ASPH.


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これは9月11日に、セミヤドリガの繭を観察したときのものです。
実はこのヤドリガの生活史を調べるため、室内で飼育することにしていました。


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それが今日(19日)、ついに羽化したのです。
成虫は繭からはみ出した蛹の側につかまって、撮影のために
動かしてもじっとしていました。

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櫛形の触角。ぼこぼこした翅の表面。
単為生殖のため、ほぼ全てがメスなのだといいます。

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なかなか美人です。
翅の模様は、オスを呼ぶものではありません。
しかし誰かに見せるためのデザインのように美しいです。

外の光で撮影しようと運んだら、あっと言う間に飛んで行ってしまいました。
生き急いでいるのです。

次の世代へ命を預けるための産卵が待っているのです。


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抜けた後の蛹の様子。あとで分解してみましょう。


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セミヤドリガの一生はこんな感じです。

先ず、順調に羽ばたいた我が家のセミヤドリガは、セミの来そうな樹に
産卵します。(心はセミになって探すのでしょう。)

そして、何も食べずに数日で死んでしまいます。
(死んだら他の生き物に食べてもらえるように、
目立つ銀の鱗粉が付いているのかな。)

卵で越冬し、来年のセミの出現に合わせて小さな幼虫に
なり樹で待ちます。

近くにセミがやってくると、飛び乗った後はセミに白い綿綿で隠して
寄生を続けていきます。画像のミンミンゼミの右腹に宿りました。
綿の中では景色など見る余裕はないでしょう。

そして今乗っているセミの健康な成長を願っているでしょう。

成虫になるまで栄養を頂いたら、今度はセミから脱出です。
糸を出してハイジャンプ!!

運良く樹や草に引っかかって、蛹化が進んだと思ったら・・・
来年の私につかまるかも知れません。

学名の Epipomponia nawai の最後の nawai は日本の昆虫研究家、
名和 靖(なわ やすし)から付けられたと知り、感傷的になりました。
名和 靖はアンリ・ファーブルと同時期を生きた学者だと
前述のブログの柚子さんに教えていただき、さらに感慨深く、
この小さな虫と付き合うことが出来ました。

幼虫はてんとう虫さんの撮影が素晴らしいです。


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ベッコウハゴロモにもヤドリガがつきます。

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ハゴロモヤドリガです。
胸のあたりに付いている、ワラジムシのようなものが幼虫です。

このハゴロモヤドリガは去年の8月に撮影したものです。
観察を積んでいくと、古い写真の見方に変化が起きます。

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