当麻喜明

ふたつのコメット-アイソン彗星崩壊

2013年12月 1日 | 当麻喜明 | Comment0

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11月29日(日本時間)早朝に、太陽に最接近したアイソン彗星は崩壊したと伝えられました。太陽の重力作用と熱が直径数キロメートルの彗星に及ぼした力で、蒸発したとも表現されています。大変残念ですが、ドラマチックな彗星の一生を知ることが出来ました。

Pentax K-5 & K7 + BITRAN BJ41L + Ricoh GRD Ⅳ


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ラブジョイ彗星は健在です。この何処かに写っているはずです。日周運動を
撮したものは、タイトル像のように後半の明るい雲に消されてしまいました。


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11月24日、ラブジョイ彗星はりょうけん座にあるM94という系外銀河の
側を通過していきました。この銀河は、私たちの銀河系より少し大きい
星の集団で、私たちから1,400万光年以上離れています。


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26日の彗星。冷却CCDの画像は TAMRON SP 180mm F2.5 撮しました。
以後の画像より広角です。


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27日は雲が出て、撮影は出来ませんでした。
変わりに28日の朝、出現した大気光学現象「幻日」です。
太陽の左右に微かな幻日がみられます。


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29日早朝は雲の発生はありましたが、彗星を捉えることが出来ました。
ラブジョイ彗星はあまり太陽に接近しませんでしたが、一方の今後の
主役になるはずだったアイソン彗星は、この撮影時間に太陽大気の中で
崩壊しました。崩壊後の姿は暗いながらも観察できると思いますが・・・


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発生した雲の後に、


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月が隠れています。変化するものは生きている。雲は生きている。
アイソン彗星も変貌し続けているのだから生きている。


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30日のラブジョイ彗星。下の画像は NIKON AF 300mm F2.8 ED で撮影。


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彗星のある南東の日周運動。


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スピカの側の月。この月は12月2日、彗星食を起こしますが、進入が
高度2°で起こるので、カノープスを見るより難しいです。


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地球照(ちきゅうしょう)の月と鎌の月。時間の話をすると、月の光った
部分は約1秒前の姿で、影の部分はさらに1秒前の姿です。欠けた影の部分
が見えるのは、地球から届いた光(ほぼ満月のような、月の4倍の大きさの
地球の光)が影を照らして、それがまた戻ってきたから見えるのです。


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12月1日の彗星の姿。


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この日、5時12分には高度45°からISSが降りてきました。


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距離600kmと遠いながら、拡大撮影の練習をしました。
ピントを合わせる月を利用し露出も月と同じに合わせました。
少し露出オーバーになりましたが、それは低い赤い月が、高度45°に
あったらという補正を加えなかったからです。

データ:Pentax K-5 + MC RUBINAR 500/5.6 iso1600 1/250


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さて、私の早朝観察はアイソン彗星が観察可能だった来年の1月まで続く
はずでした。私の睡眠時間を今後左右するのは、ひとり残された
ラブジョイ彗星しだいと言えそうです。

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