当麻喜明

フユシャクペアを探して-3/3

2012年1月 9日 | 当麻喜明 | Comment[8]

501.JPG 2012.1.6 tuini kakunin

2012年1月6日は私の観察記録の記念日になりました。フユシャクの接合個体の初観察日になったからです。この日この時間は、国際宇宙ステーションを観望した後の夕方でした。最初に探し始めた木に、あっさり発見できました。シミュレーション通りの感じで、2/3のタイトル画像にそっくりでした。今度はキノコではなく、本物です。

Pentax Q + 01Standard Prime & Lumix G2


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サクラの古木に翅を持たない♀と、♂のフユシャク。
少しずつ♀が引っ張って、上に向かっていました。

これ程、姿が違う♂と♀ですがちゃんと出会えるのは巧みな本能のようなもの。
(勉強しなくても、わかっている能力なんです。)
実は♀がカラフルな紅白の帯模様でも、♂はここに来るのです。
見ためで選ばれたのではなく、フェロモンに吸引されてきたのですから・・・


504usubafuyusyaku.JPG

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違う木にはウスバフユシャク。連結個体ではありませんでした。
接合中、♂は翅を立てていることが多いです。


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越冬中のヨスジノコメキリガ。
寒そうだったので、いつか蛾ジュース(糖分やビールなどのアルコールで調合したもの)
で乾杯しようと約束して別れました。


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まさかこんな場所で連結個体を見つけるとはビックリです。


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撮影のフラッシュで♂が翅を閉じました。


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外横線のカーブの最後が少し折れ、黒点が無いことから
ウスモンフユシャクと思われます。

この蛾には別の場所でも会っているのですが、別種のような印象です。
鱗粉が飛びやすく、紋が薄くなる特徴が名前の由来なんだそうです。
納得!!


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翌日の朝、もう一度同じ場所を調べてみました。
画像の真ん中に・・・

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イチモジフユナミシャクの♀が見つかりました。

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二枚のイチモジフユナミシャクの画像のどちらがお好きですか?
(レディー・蛾蛾ですよ。可愛いと思ってくれるのを前提の質問ですが。)


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別の木で見つかったチャバネフユエダシャクの♀。

私はこれら翅を持たずに生まれてきたフユシャクの♀を撮すとき
空を入れるようになりました。

NHKの「坂の上の雲」のドラマは終了しましたが、あの時代の明治の人たちの
心には上に上に向かう思考があり、
「坂の上に一筋の雲があったら、その雲を目指し昇っていくだろう。」
という一文が好きな言葉になりました。

本来4枚の翅を獲得してきた昆虫類が、2枚に進化するのも大変な選択でしょう。
それを♀だけ無くすというのは・・・

もう一度、イチモジフユナミシャクの♀の3枚の画像の最初に戻ってスクロールして
ここまで還ってきてください。

実は飛べれば飛びたいんだという、メッセージを感じられましたか?
♂は飛べるのですが、私が観察してきたフユシャクの♂が大空高く飛んでいるのを
見たことはありません。たいてい地面すれすれか私の眼の高さです。


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私が見つけられないほど、高く昇っていってもいいんだよ。
♂が見たこともない高いところに昇って、ゆっくり雲を見て欲しい。
そうして欲しいと、あなたのたくさんの子供たちが願っているはずだよ!


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フユシャクたちの故郷の大きな桜の古木。
ここは「月待ちの碑」もある、ヒトの「文化」の面白いところ。
「自然」を探ると、もっと面白いところに変わります。

Comments [8]

No.1

当麻さん、こんばんは。
フユシャク3部作、わくわくしながら読ませて戴きました。
フユシャクを初めて知ってから1年足らずで、ここまで
観察できたというのがスゴイですね。
私も工夫しながら少しでも近づけるように頑張りたいと思います。
今年もよろしくお願いします。

昨日今日で鳥を撮しました。シロハラとコゲラです。シロハラはオオムラサキの幼虫を探して、私たちが枯れ葉をひっくり返すのと同じように地面で行動し、見事にイチモジフユシャクの♂を発見しくわえて飲み込みました。

夕方、新たなフユシャク♀を見付けてチェックし、さらにぐるっと回ったら、カラ類の混群が来たので、楽しくコゲラを追いかけて撮しました。30分ぐらい後、チェックしたフユシャク♀を見にいったらいないのです・・・
移動したと想定し、くまなく見てもいなくなっていました。多分コゲラが・・・

コメントありがとうございました。私の周りのナチュラリストのブログや交流が全て師なんです。今年もよろしくお願いします。

No.3

当麻さん、こんばんは。
今年もよろしくお願いします。

フユシャク3部作、垂涎の思いで拝見しました。
まだ見ぬ♀どころかペアとは、超うらやましいです。
地味な色を想像していましたが、きれいな色も入っているのですね。(^^;)
前々から、♀が見たいとずっと思っているのですが、地の不利で近くにフユシャクの見られる場所がありません。
狭山丘陵に夜行くのにはチト遠すぎるという思いがあります。
♂は昼間でも見られる種類がいるのですから、間違えて♀も見られないかと昼間行ったりしているのですが・・・。
昼間でも見られるポイントをご存知ならこそっと教えてください。

素晴らしいダイヤモンド富士ですね!
琥珀のような色合いの素晴らしい光景です。

http://mtana2.exblog.jp/15245290/

フユシャク♀の心境がよくわからないのですが、こんな順番で観察しました。
1.人工物の上の背景が単純なところでカタチをインプットする。
2.♂がいるところで、たとえばサクラの老木を、本当にじっくり観察する。
8mmくらいの大きさの上に、擬態の名手で手強かったです。

荒幡富士まで来られれば、そこには「いきものふれあいの里センター」通称「いきふれ」という施設があります。私も見付けたときはここの指導の方にお話しておきますので聞いてみるのが一番かも。とにかく自然木で♀の姿を見たときは、世界観が変わる思いでした。今までコゲラが美味しそうに何かを食べている写真を撮って満足していましたが、相当虫に同情するようになりました。

ありがとうございます。
できるだけ早い機会に行ってみます。

No.6

tomaさん、こんばんは。
きょう行ってきました。
いきふれのSさんに教えていただき、見ることができました。
ありがとうございました。m(_ _)m
2頭いました。左から1本目と2本目のサクラに。
帰りに寄った別の場所でも、試しに探してみると、ケヤキの大木で見つけました。
こうなると、別の種類も見たくなります。(^^;)

No.7

追記:3頭ともイチモンジの方です。
チャバネは残念ながら・・・。

大収穫でしたね!イチモジの雌を複数見ると、翅の模様のバリエーションが面白いです。チャバネもさらに個性的ですね。一頭見付けると、不思議と他の樹でも見つかるものです。私はまだケヤキでは見たことがありません。

鳥にお腹いっぱいエサを食べて欲しいのは、やまやまですが、虫にも同情するようになりませんでしたか。

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