大瀧雅寛

国立西洋美術館 - 水平線の間隔は上に行くほど狭くする

2011年11月22日 | 大瀧雅寛 | Comment0

国立西洋美術館 国立西洋美術館に初めて来たのは、小学校の遠足だったかな...

建物の設計をするときには、すでに建っている建物を参考にして、設計をすることが多いのものです。

ですが、巨匠と呼ばれる建築家たちは、植物のかたちなど自然のデザインを参考にすることがあります。

上野駅で降りて上野動物園に向かう途中、この国立西洋美術館は佇んでいます。


国立西洋美術館

上野の国立西洋美術館は、フランスの建築家「ル・コルビュジエ」によって設計されました。

ル・コルビュジエは、古今東西、世界で一番有名な建築家、もちろん、私にとって最も尊敬している建築家です。

美術館の上階の外壁は、深緑色の天然石を埋め込んだパネルになっています。

建物の1階は、壁がなく柱だけでの空間になっています。「ピロティー」といいます。

国立西洋美術館

建物の正面を左右対称にすることや、等間隔に寸法を揃えることだけがデザインではありません。

「水平線の上下の間隔は、上に行く程狭くした方が美しく見える」と、建築家は考えました。

建築家は幼いころの植物のスケッチを通して、この原理を発見したそうです。

なるほど、木の枝の間隔や葉の形などは、上に行く程狭くなっています。

パネル目地の水平線の間隔は、上に行く程狭くなっています。その寸法は、モデュロールによって決められています。

国立西洋美術館

「近代建築の5原則」を、ル・コルビュジエは唱えました。この原則が20世紀の建築の指針となりました。東京の街並みでも、この原則を見つけることができるはずです。

「近代建築の5原則」

  • ピロティー
  • ルーフガーテン
  • 自由なプラン(平面)
  • 水平連続窓
  • 自由なファサード(立面)

建物の設計を生業にするようになると、絵画を鑑賞するためでなく、国立西洋美術館そのものも、私にとって鑑賞する対象となりました。

例えば旅行に行ったとき、建物そのものを楽しむことができるので、旅行を2倍楽しめることが、建築の仕事の得なところですね。

国立西洋美術館

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