大瀧雅寛

窓は大きいほどいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

2014年5月13日 | 大瀧雅寛 | Comment0

窓は大きいほどいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める2014.05.01

久しぶりにこの細長い、水平連続窓から外の景色を眺めました。この窓のガラスの高さは40cmしかありません。床から窓下枠のまでの高さは140cmなので、窓の中心までは160cmです。この高さは私の目の高さと同じくらい。高さを最低限に抑えることが、景色をより一層美しく見せているようです。


窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

しかし、高さ40cmほどのこの窓の、横の長さは10m以上ありそうです。視線を右側を移動していくと、見えたのは群馬県庁です。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

私が眺めていたのはこの建物からでした。左側のスリットのようにしか見えない窓からでした。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

群馬県前橋市の前橋市役所です。窓ではなくスリットのように見せるために、この窓にはたくさんの工夫がありました。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

建物は角の部分に大きな力がかかるので、ほとんどの建物は角に柱が立っています。しかし、この建物は角の柱がなく、ガラスの突き合わせになっていました。角にあるべく柱を抜くために、建物全体に構造的な工夫があるはずです。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

窓周囲の窓枠にも工夫がありました。窓枠はぴったりと壁面に合わせてあり、さらに斜めに面取りがしてあります。壁と一体になるような塗装も施されています。窓枠の存在を消し、「外の風景」を引き立たせます。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

みなさんに内緒で、「よい建物とわる悪い建物の見分け方」いや、「腕のいい建築士と、そうでない建築士の見分け方」をお教えしましょう。

どんな建物も、建築士によってデザインされているのでしょう。道路から見た外観や、玄関、リビングなど、ひとの目に付く部分をていねいにデザインするのは、当然のことです。

その建物が「よい建物」か見極めたかったら、その建物の廊下や階段に行ってみてください。廊下や階段などがていねいにデザインされている建物は、きっと全体もていねいにデザインされているはずです。

前橋市役所も、シンプルで線がきれいな階段でした。デザインだけでなく、階段を降りてくるときに、外の景色が見えるように配置されています。「訪問者がそこでどんな体験するか」も、デザインされています。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

窓の上には大きな壁が建物いっぱいに広がっています。これは建物のデザインのためだけでなく、構造的な役割も持たせ、建物全体の柱を減らせたとのことでした。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

1階や2階のホールに光が差し込むように、ここでは縦にスリットがありました。正確に言うなら「逆Tの字型」のスリットです。このスリットによって、大きな建物が、緑の上に浮いているようにも見えました。

窓は大きければいいのではない - 細長い窓から前橋市街を眺める

建物を訪問したとき、こんな感じに「解読」していくのは私の性質のようです。最後に私が造った廊下を紹介します。「 縁側の魅力 - 保育室と園庭をつなぐ大切な役割

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