当麻喜明

狭山丘陵の生物多様性-里山と深山聖域と

2010年6月12日 | 当麻喜明 | Comment0

アオイトトンボ@2010.6.12

放置田や休耕田の水田復元。そして水道用地で立ち入り制限のある丘陵深部。それらをつなぐような谷戸・谷津。梅雨の前の限られた観察日和を生かして、ぐるっと西半分を移動してみました。身近な人里の自然と丘陵深部・・・ボートの浮かばない巨大な湖面・・・ユニークなバランスが結果的につくりあげた、魅力ある狭山丘陵をあらためて考える一日でした。

PEntax K7 + TAMRON SP 70-200 F2.8 & Sony DSC-H10


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アオモンイトトンボが骨(外骨格)休め・・・

ときおり水中を小さな魚や大きな魚が流れていきます。


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アジアイトトンボは、体長3cmほどの小さなイトトンボです。


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こちらは配色からも明確に雌雄の区別がつくショウジョウトンボ。


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私の1m先でホバリングしていた「コオニヤンマ」が小枝に留まってくれました。
しがみつくというよりバランスを取るのに足を不器用に使っています。

すぐに居心地悪そうに飛んでいきました。


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草原にトビイロツノゼミ、獲物待つクモ「マミジロハエトリ」・・・、ドロバチの巣を発見。

水田のあぜ道や堰堤より深い草原には、何種類もの食物連鎖があるのでしょう。
放置された水田は、やがて湿地化し、乾燥した草原にかわります。

環境により、そこで暮らす生き物の組み合わせが変わります。水場と見通しの良い
一等地が田んぼかも知れません。

しかし雨の時のみぬかるむ土地も、人の背丈の植物が被う草原も・・・
里山はそんなものを様々内在させる、人に近い自然です。

日々、ヒトの手が加わる水田だけだと、生き物に聖域を提供してあげられません。

できればヒトの入らない、生き物だけの舞台裏や楽屋が提供できたら・・・
素敵に化粧した生き物が、狭山丘陵の舞台をもっと演じてくれるでしょう。


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ムカシヤンマにはヒトから離れた聖域が必要です。ヤゴも半地上生活でも安全な
深い森の木漏れ日が必要です。

水平飛行が特異に進化した他のトンボたちは田んぼのようなクリヤーな環境を
好むかも知れません。

ムカシヤンマは上昇と下降をくり返して餌を探しているように見えました。
水平より上下の自然環境に敏感かもしれません。


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草原にはヤマサナエが待っていてくれたようです。


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深い谷戸の奥にサラサヤンマしかいない場所もありました。


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ヘリグロチャバネセセリではないかと思われる個体です。


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豊かな水環境があればたくさんのアメンボもやって来ます。同じ数のゲンゴロウや
マツモムシもいるかもしれません。

生物多様性とは、一見ヒトにやっかいな土地であっても、多様な自然環境が
もたらすものであることは間違いありません。

乾燥してしまった湿原でも、鳥や動物にとっては必要な何かがあったようです。

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