当麻喜明

イトトンボの羽化-狭山丘陵の空気はおいしいかな

2010年7月14日 | 当麻喜明 | Comment[2]

ハグロイトトンボ@2010.7.11

ハグロイトトンボが休んでいました。時々4枚の翅をひらひらと開く動作がきれいです。早朝からの観察で、アジアイトトンボ、キイトトンボは羽化の全てを、マユタテアカネは羽化後の殻にしがみついている姿を観ました。少し歩くと草原から涌き出すように羽化直後個体のトンボたちが、沢山舞い上がりました。

LUMIX G2 + G VARIO 1:4-5.6 / 45-200 & Sony DSC-H10


03.JPG


このキイトトンボは羽化の後、するするとアシの葉を登っていきました。
イトトンボの羽化は初めて見ました。

アシの葉の下の方に幼虫時代の抜け殻がくっついています。


04.jpg


5時頃から上陸した幼虫の羽化までをまとめました。

ここで幼虫に、たいへん劇的な変化が起きます。水中生活時代のエラ呼吸から
空気(酸素)を気門から直接体液に解かす方法に変えるのです。

特にイトトンボの仲間は尻尾のところにエラがあるようです。
3本の尻尾がエラであると考えて間違いないようです。
しかし、身近なこれらの昆虫の呼吸方法はまだ論文が出るくらい諸説があるようです。
ビーパル8月号にヤゴの抜け殻の白い糸は「古い気門の糸」とあるので
さらに深く学んでみることにしました。

尻から空気を取り入れる水生昆虫は多いです。昆虫の口は食器官として発達したので
エラは腸の一部にある仲間が多いのです。ですから効率よく呼吸するには
尻からが一番いいのです。


06.JPG


左がメスのキイトトンボ。右がオスです。


07.jpg


別の水辺では少し遅れてアジアイトトンボが羽化を始めました。

セミの羽化は経験上夕方始まり、明け方飛べるように成ることが多いですが
イトトンボ(他も多く)は明け方から始まり短時間で飛行可能に成ります。

白い粘液のかたまりのような翅がわずか数滴の水の重さで、落とされるように
開いていく様は実に荘厳な感じがしました。

同様に腹部も、縮んだアコーディオンが開いていくように、
ゆっくり伸びていきました。


08.JPG


この画像では大きく感じますが、体長3cmほどの繊細なイトトンボです。


09.JPG


足下から飛び立ち付近の梢にとまったのは、コシアキトンボのメスです。


10.JPG


マユタテアカネも羽化直後の様相です。


11.JPG


大瀧さんが芦原で見付けたのはマルタンヤンマのメスでした。
私は黄昏飛行の最後で茶色いシルエットを見ていました。


12.JPG

13.JPG


日差しのもとでよく観察すれば、カラフルな色合いです。オスにはこの色に
コバルトブルーが混ざります。

ムカシヤンマを見たときもそうでしたが、数億年も前から、ある部分同じままで
生き続けるというのは尊敬にあたいします。

マルタンヤンマも「謎の茶色いトンボ」を夕方見てから、私の中で「不思議」な印象を
持ち続けたまま進化し「マルタンヤンマ」となりました。


14.JPG


茶色といえば「べっこう飴」といった主張をして、ハチの仲間が泊まっていました。


15.JPG


よく見ると宇宙人が戦闘帽をかぶっているようでした。
本当に生物のデザインは面白いです。


16hosobaseseri.JPG


ホソバセセリも茶色がきれいです。去年(もっと前から?)ヒョウ柄が流行りました。
今年の私は「茶色」にグッと来るものを感じます。


17rurisijimi.JPG


ルリシジミがとまっていたのですが・・・前翅と後翅に直角に切れた後がありました。

鳥に襲われたことのある、ドラマチックな出来事を経験しているのでしょう。
羽化した直後のトンボたちにも、やがて生きる試練はたっぷり待っています。

水平や垂直に沢山仕掛けられたクモの網・・・
動かないと止まり木の枝に見えるカマキリの持つカマ・・・
飛行のうまい、お兄さんだと思ったら、自分に噛みついてきた
クロスジギンヤンマ・・・


18.JPG


ミルンヤンマが上空飛翔。ここのミルンは翅の付け根がうっすら茶色に染まっています。


19.JPG


入間の航空祭で、ブルーインパルスが帰るとき見せる翼を横にして上昇する姿勢。

生まれた水面から、せいぜい1-2mが彼らの空である、羽化したてのイトトンボたち。

いつか故郷の池や湿地や、この丘陵が小さく見下ろせる上空へ、おいしい空気と共に
飛ばせてあげたいと思いました。


Comments [2]

No.1

写真の途中の方にある、とんぼのアップ写真。
仮面ライダーにでてきそうですね(笑)

No.2

トンボの胸部の(黒い線状の模様)側縫線はウルトラマンの胸部の模様に似ています。歌舞伎の化粧のデザインも案外昆虫を真似ているかも知れません。この夏は双眼鏡を持って「トンボ観察」ですね!!

コメントする

公開されません

← ホーム  ↑ トップ