大瀧雅寛

梅雨入り間近の狭山丘陵、トンボめぐり、谷戸めぐり

2010年6月13日 | 大瀧雅寛 | Comment0

羽化したてのショウジョウトンボ。全身がゴールド / 2010年6月12日

関東地方は来週から梅雨入りするようです。今日は雨の心配がなく、気温も高くなりそうです。狭山丘陵でどれだけの種類のトンボが観察できるか楽しみでした。今日の結果を先に書きますと、12種類のトンボを観察することができました。イトトンボの分類は難しいので、実はもっと多かったのかもしれません。


梅雨入り間近の狭山丘陵、トンボめぐり、谷戸めぐり

池に向かう草むらの中で、羽化したてのメスのショウジョウトンボを見つけました。近くを通った私たちに驚いて、少し飛び近くの草へと移動しました。今朝羽化したばかりでしょう。色がまだついていません。眼も胴体と同じゴールドです。近づいても逃げない様子から、もしかたら、まだはっきりと見えていないのでしょうか。

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ヤマサナエが遠くから飛んできたように、草むらに降りてきました。きっとこの草むらは、狭山丘陵の上空から見下ろすと明るく見えて、降りてきたくなる場所なのでしょう。トンボは種類によって、草にぶら下がったり、平なところにのったり、好きなとまり方があるようです。このヤマサナエは4本の脚だけでつかまり、前脚の2本は腕組みをしているようです。

梅雨入り間近の狭山丘陵、トンボめぐり、谷戸めぐり

モンキチョウも吸蜜しています。美しい蝶を見ていると、私たちはヒメジョオンをたっぷりといただいたように満腹です。私たちが丘陵に踏み込むときには、カメラと双眼鏡以外のものは持ち込みません。私たち人間の世界と昆虫たちの世界は、共存しながらも距離が必要だと思います。

「ワタシカラノキョリ」というタイトルは、そんな気持ちから生まれました。この狭山丘陵に昆虫採集のために訪れるひともいるでしょう。絶滅危惧種ほど標本としての価値は高いでしょうが、多くのひとが昆虫採集をしたら、絶滅危惧種ではない昆虫も絶滅してしまうのではと心配です。

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近くの草むらには逆立ちしているツバメシジミです。後翅にある尾状突起にちなみ、ツバメの名がつきました。娘と散歩に行く時は、車は危険だと交差点で必ず言うようにしています。蝶たちに虫取り網が見えたら逃げるようにと、教えてあげる方法はないでしょうか。

こうなことを書いている私自身はどうなんだと言われれば、子どものころはずいぶんと昆虫に残酷なことをしましたが、成長していく中である日突然、昆虫の命を思うようになったのを覚えています。

手塚治虫の「火の鳥」の一場面を思い出します。誰からも嫌われる荒くれ者を、ひとりだけ愛してくれる女性が現れました。その女性は「私は以前、あなたに助けてもらったテントウムシです」と言うのです。異性に好かれるタイプではない私は、その言葉を大切にすることにしたのです。

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日が高くなると丘陵深部に入っていきます。暗い森の中でもスポットライトに照らされたような明るい場所を見つけました。そこで、息をひそめてしばらく待っていると、主役が現れました。

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ムカシヤンマは、他のトンボのようにどこか水平に飛んでくるのではなく、上の方から、ダイビングのように真下に降りてきました。水中へと潜ってくるような飛行を見ていたら、森全体が海中のように思えてきました。

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ムカシヤンマも日にあたりたいようです。街の喧騒も聞こえてこない丘陵深部なのですが、携帯電話の電波は飛んでくるようです。この神秘の前で、私は仕事モードに何回も戻りましたが。

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桜沢にもまわってみました。湿地は干上がっていましたが、ハラビロトンボは今朝も羽化したようでした。透き通った翅です。

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アオモンイトトンボが、大きな池の縁の水草の根に産卵しています。メスの足場のよさを優先して、オスが不安定な細い水草につかまっています。

梅雨入り間近の狭山丘陵、トンボめぐり、谷<br /><br />
戸めぐり

となりの谷戸に行くと、友好的なサラサヤンマに出会いました。他のトンボや蝶、昆虫が姿を見せない谷戸の奥で、退屈していたのか、私たちを出向かてくれました。写真が取れやすいように、すぐに草にとまってくれました。

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