当麻喜明

粘菌は胞子で増える ー3/3「スジチャダイゴケ:菌類」

2015年8月 9日 | 当麻喜明 | Comment0

001.jpg 2015.7.28 furui daifuku

胞子を飛ばす仕組みは、高等な菌類に進化すると複雑です。機械的な仕組みだけではなく、動物の五感を巧みに刺激します。種子植物ならなおさらです。

Pentax K-3 & Olympus OM-D E-M5



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粘菌類に工夫があるとすれば、子実体に変化する場所でしょうか。
変形体で生きた場所より高いところで変化し、また数ミリといえ
どもより高い軸の上で胞子を飛ばします。


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ここまで形が崩れると何だかよくわかりませんが、モジホコリの
仲間で、シロモジホコリかアオモジホコリでしょうか。


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シダ植物は、葉の裏にソーラスと呼ばれる胞子のうの集合体を
つくります。今頃が、胞子を見るにはいい時期です。


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小さなカタツムリの様なものが見えます。顕微鏡でこれを観察
していると、光源装置の熱で丸まった軸が伸び、胞子がバネで
弾かれるように飛ばされるのを見られます。


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スジチャダイゴケです。


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このキノコも面白い仕組みを持っています。体と一体のような蓋が
取れると、白い内蓋が現れます。この白い蓋は、雨や風でやがて
なくなります。


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中に、碁石のような胞子のうが待機していますが、胞子が熟す
まで、菌糸で底につながっているという念の入れようです。
(ネズミノチョキンバコなんていう名前を付けたいな。)


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再び雨で、この碁石のような胞子のうは、茶碗みたいな部分から
飛び出し、無数の胞子を散らばらせます。飛び出した胞子のうが、
右下に見えますね。この碁石に無数の胞子が内蔵されています。


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発生直後から白っぽいので、シロススホコリだと思います。


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ススホコリ。さらに詳しく調べると、キフシススホコリかも
しれません。


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上は7月13日撮影のススホコリ、下は8月6日撮影。胞子の飛散は
自然任せですが、立派に身を粉(こ)にして全うしたよう
ですね。シンプル・イズ・ベスト!


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「粘菌は胞子で増える」はこれで終わりますが、粘菌からは
たくさんの観察テーマが生まれます。アミメケンモンの幼虫、
食草は地衣類とされています。成虫のメスは食草の豊富な
ところに産卵します。この模様、地衣類や変形体などに擬態
したんだと思いませんか?


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セスジナミシャクも見事な模様をしています。今まで、いったい
何からこんな模様になったのだろうと考えてきましたが、


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廃木や古い切株で見かける、菌糸のある風景に似ています。
(ただし幼虫食草はアケビ科の植物ですが。)


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オビカクバネヒゲナガキバガ。幼虫食草不明とされています。
それなりに隠れています。食草は地衣類??


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ヨツボシホソバ。幼虫食草地衣類。この模様は・・・似てない!
人でも蛾でも、ユニークな服装はいるものです。


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