当麻喜明

エタノールの炎 - わたくしといふ現象は - ひとつの青い照明です

2014年11月21日 | 当麻喜明 | Comment[2]

001.JPG 2014.11.21 moeagaru awoi honou

美しいものを見ました。せっかくなのでお裾(すそ)分けです。蒸留したてのエタノールの炎は、明るいところでは見にくいですが、灯りを落とすと幻想的です。

Pentax MX-1


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化学分野のまとめで、赤ワインの蒸留をしました。


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早ければ、5-6分で、グツグツいってきます。


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加熱され、気体になった赤ワイン中の成分が、再び水冷され、
液体に戻りました。


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不純物のない、純度の高いエタノールの炎は、明るいところでは
燃えているのかわからないくらいです。


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点火用のろ紙そのものは赤く燃えますが、エタノールの炎は青く
静かにゆらめきます。


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純粋なエタノールの炎を、純粋な心で感じて、観察してみると、
そのゆらめきは、「化学反応」という無機質なものではなく、
人の心を持っているようにも感じられます。


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わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち その電燈は失はれ)

宮沢賢治「春と修羅」序 青空文庫より引用

私はエタノールの炎を見ていると、宮沢賢治の心象スケッチを
思います。一般に解釈されているアルゴンの「ネオン照明」より
きれいな有機物のエタノールの炎なら、自分の心をうつして、
いかにもせわしく「揺れている」感じに共感できます。

宮沢賢治さんは、時空を超えて会ってみたい人です。


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さて、フラスコの中の赤ワインは煮詰まってしまって、仮に
飲んでも最悪でしょう・・・しかし私は一杯のワインより
蒸留で取り出したエタノールの「ゆれる炎」を見ている方が
はるかに心地よく感じます。


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わかるかなあ・・・


参考:宮沢賢治「春と修羅」青空文庫

Comments [2]

No.1

青い炎・・・目の前で見たらもっと幻想的だったこと
でしょう。
ワクワクする実験ですね。生徒さん達も化学の実験だけで
なく、何かを想像していたらいいですね。
私は先ごろ厄除けの御祓いで、護摩焚きをしてきました。
こちらは赤い炎。護摩焚きの燃える赤い火は感動ものでした。
「炎」には人の心を揺さぶる神秘的な力があるようですね。

No.2

今日は法事でしたので、赤いローソクの炎を見ていました。
護摩焚きと同じ赤い炎でした!

青い蒸留直後のエタノールは不純物も混じらず、明るいところでは、見えないような炎です。
「見えないようでもあるんだよ!」
同感です。この観察で化学以外の何か感動が伝わってくれたら、いいんだけどな・・・

人の「心」も見えないけれど、ちゃんとあるんですよね!
歓声がわきましたから、きっと何かが伝わったと思います。

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